Angle! Baby! Cupid!

とあるジャニオタののんびり随想録

大好きな舞台が忘れられなくて軍艦島に行きました。

卒業旅行がてら長崎県軍艦島(端島)に行ってきました。

何故長崎?しかも何故軍艦島?分かる分かる。その質問、行くって伝えた人全員に言われた。でも軍艦島は私にとって、海外より沖縄より北海道より、卒業旅行あるあるのどの場所よりずっと行ってみたくて魅力的だった。廃墟萌えの気があるのかもしれない。
そして何より、一番の理由は、軍艦島コインロッカー・ベイビーズの舞台になったとも言われている場所だからだ。

そう、このブログで 散々 よく話している舞台コインロッカー・ベイビーズが忘れられなくて私は軍艦島に向かったのだ。

ここで少しコインロッカー・ベイビーズについて紹介する。この作品は村上龍が1980年に発表し、野間文芸新人賞に選ばれている。コインロッカーで産まれた「ハシ」「キク」の2人の孤児が主人公。2人は産まれてすぐ捨てられたという強烈な記憶から生まれたエネルギーを封印するためとある音を聞かされる。その音を巡って2人の運命は大きく変化していく…。
コインロッカー・ベイビーズは2016年に舞台化し、2018年には再演された。その舞台こそが私の浅い人生の中で忘れられない、最早呪いとも呼べるレベルで思い出深い作品である。
↓詳しくは過去のブログで
m-axel-s.hatenablog.com
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舞台の原作はできるだけ履修しておきたいタイプなので何度も熟読した。すると軍艦島と思われる離島が出てきた。ハシとキクは小学生になる一年前の夏、長崎の離島に引き取られ、高校時代まで過ごす。その島のモデルとなったのが軍艦島と言われている。作者の村上龍長崎県佐世保市出身。また作中に『海底炭鉱』というワードが使われていたり、『当時島には5000人を越す炭鉱労働者が住み~(以下略)』などと書かれていた。ハシとキクは炭鉱跡を遊び場とし、長崎から東京に舞台を移した後も薬島という隔離されたスラム地区が登場する。更にキクはその後東京を破壊して廃墟するという目的を持つようになる。また、2009年に放送された『一読永劫 〜ベストセラー作家が選ぶ名作の風景〜』という番組でもモデルになったと紹介されていた。ちなみに舞台初演のパンフレットには軍艦島が背景や中にも登場している。
ハシとキクが育った場所は一体どんなところだったのか。そして今はどうなっているのか。原作を読み直すほど興味が湧いた。

 

軍艦島の正式名称は「端島(はじま)」。長崎から南西に18キロ離れた離島だ。面積は約65000㎡。東京ドーム1.5個分ぐらいで福岡ドームより小さい。その敷地内で最大5259人が同時に暮らしていたそうで、世界最大の人口密度として未だに破られていない。石炭は1810年頃に発見され、1890年には本格的海底炭鉱として採炭を開始した。その後島内は繁栄したが石油の登場により石炭の需要も減り、1974年に閉山、完全な無人島となった。そして2015年に世界遺産に登録された。

軍艦島に上陸をする日は天気は良かったものの、海は大荒れで島に近付けるかすら分からないとのことだったが、運良く上陸するすことができた。ラッキー。



軍艦島の全体。近くまで来ると迫力がある。確かに軍艦に見える。



上陸。波が凄い。



記念にパシャリ。



息を飲む光景とはまさにこのこと。



ガゼルが顔を出してくれそう。



ハシ!キク!あんまり遠くに行っちゃダメだよ!と言いたくなるような廃墟。



軍艦島から見えた海。う〜〜み〜〜〜♪


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去年の秋に直撃した台風25号で多大な被害を受けた軍艦島。上陸も約4ヶ月できなかった。この景色も台風の影響なのかもしれない。



劣化や災害でどんどん姿を変えていく軍艦島。訪れる度に景色が変わる、と言ってリピーターになる人も少なくないそうだ。ここでは確かに人が暮らしていた。その記憶に触れられたような気がする。
ハシは、キクはこの景色を見てどう思うだろうか。子どもの頃のように走り出すのだろうか。それとも…。



私にとってコインロッカー・ベイビーズは小説も舞台も思い入れのあるとても大切な作品だ。その世界をこの目で見ることができたことは忘れられない思い出になった。私はこれからもコインロッカー・ベイビーズという作品にうなされ、救われるのだろう。